三山木マラソン

ブルーマンデー、憂鬱な月曜。いくら準備は出来ていなくても、毎日は僕を待ってはくれない。
朝8時に学校に行き、授業を受けて昼飯食って、そのあとに残された膨大な時間を、僕はどう乗り切ればいいのだろう?
神様は残酷だ。どう動いたらいいのかよく分かっていないときに、持て余すだけの時間を与えて、ここが肝心というときにはけっして時間を与えてくれない。
でも、本当に悪いのは、ぽけーっとしている自分自身なんだろうけど。

夕方から奥山くんのアパートを訪ね、二人で汗水たらして部屋の掃除をする。
未開のジャングル状態だった奥山くんの部屋がみるみるうちに片付いていく。
ああ、この労働の汗!自分の部屋できれいになっていく部屋を見るときのこの快感!
人生もこんな感じで片付いてくれたら本当に楽なのに。

奥山くんの家からの帰り道、しみじみと思う。
僕は毎日をちゃんと生きているのかと。日々に充実感もないまま、僕の仮釈放の期間は終わるのだろうか。

部屋に帰ったらたまらなくなって、ジャージに着替えて夜の三山木を疾走した。
木津川に沿った一本道を、ただがむしゃらに走り続けた。
きっとこれは大人への一歩を踏み出すための助走なんだ。明日へと大きく踏み出すために、勢いをつけるための助走なんだ。
息があがり、背中には汗をかく。上昇する体温。そうだ、これが生きているって実感なんだ!
しかし、ニコチンと不摂生で蝕まれた体は、そう思うようには動いてくれませんでした。
志半ばで挫折。汗は引いて、夜風が背中に冷たいよう。
長い長い距離をとぼとぼ歩きながら、一人悲しくなる。煙草が吸いたい。

結局、助走をつける段階で、僕はくたびれてしまっていた。
いつになったらその一歩を踏み出せるのだろう?
疲れた・・・。けどこれから続いていく毎日を生き延びるには、たとえ助走にしかすぎないマラソンでも走り続けなくちゃいけない。しんどくても。一日を生き延びるために。