寂しいさ、それは。しかしそれでいいのだ。

「おつかれさまです」って言葉は、すごく便利な言葉だと思う。大学生になってから「おつかれさまです」って言葉のありがたさをひしひしと感じた。たとえば大学のキャンパス内で会いたくない先輩や同回生と会った時にも「おつかれさまです!」って言ってしまえば、相手に好印象を与えつつも、いちいち立ち話をせずに別れることができる。これが「おはようございます」だとか「こんにちは」とかだったらダメなのだ。迂闊に「こんにちは」などと言ってしまった場合、「今日はほんとにいいお天気で・・・」なんて感じで会話が始まってしまう危険性がある。対人関係を避ける際には「こんにちは」などといった言葉はタブーなのだ。断じて「おつかれさまです」なのだ!ああ、なんて素晴らしい魔法の言葉!
・・・・・・・。

こんな感じでサークルに入っている間、人とのコミュニケーションを避けてきた。そのうち、無理して人にあわせるのがしんどくなり、僕は今までに入っていた二つのサークルのうち、一つを辞めたのだった。(もう一つは引きこもり状態が今も続いているため、まったく行っておりません)

サークルを辞めてから、「おつかれさまです」って言葉を使う機会が無くなった。
学校内で挨拶する相手がいなくなったのだ。
以前サークルで一緒だった人も、僕とキャンパス内で出くわしたときには、見ていて胸が痛々しくなるほど大げさに視線を逸らす。
その先にあるのは単なる壁であるというのに、彼らは右斜め上向きの視線で壁を凝視しやがるのだ。
貴様は壁フェチか!
・・・・くそぅ。
今日もまた、辞めたサークルの仲間とキャンパス内で出会った。もう未練は無いはずなのに、飲み会などで騒ぎあった友達からあからさまにシカトを喰らうと、さすがに辛い。
「おつかれさまです」を多用してきた僕であったけれども、そのときばかりは思い切って「おはよ!」とか「ちーす!」とか言ってみようと思った。本当にそういう明るくて人当たりの良い性格に生まれついたのなら、どんなに楽なことだっただろうか。
大学に行っても一人ぼっちだ。さみしい。孤独だ。でも、僕はこの孤独をこそ愛そうと思う。ただ、一人きりでいたい・・・るんるん