もうヘルスに行くしかないのか・・・

今日も普通の一日。惰性の力はまだ働いている。
学校の帰り道、奥山くんの部屋に寄ったら、彼はパソコンに向かって、新しく撮った映画の編集をやっていた。
どんな映画なの?と聞いたら、
「宮崎(奥山君の後輩)が、意味不明な日本語を唱えながらパイプ椅子をファックする映画」と奥山君は言う。
なんじゃそりゃ!
パソコン画面を覗いてみると、なるほど、宮崎君が狂ったようにパイプ椅子をバックから犯している。
「怖いね・・・」と僕が言うと、
「怖いね!」と奥山君。なんだか嬉しそうだ。
一番怖いのはこういう映画を嬉々として作っているあんたなのでは・・・という疑問はとりあえず水洗便所に流しておくとして、僕達は小腹が空いたので近くのラーメン屋に飯を食いに行くことにした。

「いらっしゃいませ!何名様でしょうか?」アルバイトの女の子が元気よく接客している。頑張ってるなぁ。
「あのアルバイトの娘、かわいくない?」と奥山くんに振ったら、
「そうだね。でも、なんでああいう可愛い女の子が、僕達の身の回りにはいないんだろうね?」と聞き返してくる。
そういえばそうだ。大学にはレベルの高い異性がわんさといるのに、不思議なことに、大学に入ってから僕達は一度として、そんなレベルの高い女の子と口をきいたことがないのであった。
これは、非情に、重大な問題だ。奥山君と二人でその謎に迫ってみる。どうして僕達には可愛い女の子の知り合いがいないのだろうか?

結論:そもそも世間的にまともな考え方をしている人間が僕達の交友関係の中において皆無であるため

「そうか!つまり僕達はそろいもそろって、き○○いばかりだから、可愛い女の子はそんな僕等にひいてしまうんだね!」
「そうだよオクナ君!そして、あまり悩まずに精一杯青春を楽しんでいる若者に女の子はむらがるんだよ!」

・・・・・・。
ラーメンが、スープを吸って、だらしなく伸びきってしまった。

帰り道、「僕達は必要以上にあれこれ思い悩んで、頭を抱えてこんでいるけど、それってやっぱり意味ないのかな?」
と尋ねると、
「たぶん、無いね」と言って、奥山君は笑った。
遠くの方から蝉の鳴き声が聞こえてきて、そうか、もう夏なんだな・・・と思う。